日本での英語教育に関して


    日本では、以前から、日本人の英語力の低さに対する嘆きの声、そして、その原因とされている、中学高校における、文法重視の英語教育に対する批判の声があります。

    私は、この問題の本当の原因は以下の点にあると思います。この点を改善しない限り、英語学校がどんなに増えても、英語学校にどんなに通っても、日本人が英語を使って国際的に活躍するのは難しいと思います。

    大学のテキストが、日本語のみである。

    日本以外の国の大学では、英語で書かれた国際標準のテキストを使って学習するのが普通です。この問題は、大学における教員にとって、自分の書いた本を生徒に購入させ、その売り上げからの印税収入を得ることが重要な副収入になっているということが背景にあると思われます。

    教員が自分で書いた本を使用することは、学生が知識を基礎から積み上げて勉強することが出来ないという問題点にもつながります。教員の書いた本は、基礎知識を解説した本ではなく、自説を語った本であることが多いためです。

    また、仕事で英語を使う場合には、自分の専門分野に関して英語で話すことが出来ることが重要です。TOEIC的な英語が活躍する場面がすべてではないし、その様な場面で必要な英語力は低いのです。エンジニアで、TOEICの得点が高くても、「aの2乗」と言う様な表現が出来なければ、英語を使って仕事をすることは難しいでしょう。この点、他の国の大学で学んだ人たちは、自分の専門分野に関する英語を知っているという強みがあります。

    大学教員のもつ既得権を奪わない限り、グローバル経済における日本の将来は厳しいでしょう。